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第7章 満開

先生と庭へ出る。玄関の扉を押しながら反対の手が差し伸べられる。

ワタシはその手に自分の手を重ねた。

手を繋いで庭を散歩するだけなのに、まるで初デートに出かけるかのごとくウキウキしていた。

「今日は全部廻りますよ。」

先生の知らない花の名前を聞かれたり、小さな花を屈んで眺めたりした。何種類の花がここにあるのだろう。

その間先生は手を繋いだり、屈んだワタシの背に手を置かれたりとずっと触れていてくださった。

春の花が咲き乱れ、芽吹く季節、心が温まり休まる。

先生は子供を見るような目で草花を愛でていた。


「花はいいですね。」

ふとワタシは口にした。

「どうしてですか?」

「自分の運命通りに生きて、愛でられて…」

「貴女は違いますか?」

「今まで平凡であればいいと思ってましたが、色々が見えてきてしまって…」

「そうですね…
でも与えられた運命の中で一生懸命を尽くすという意味では同じじゃないでしょうか?

此所にきて平穏で居られるなら、いつでも来てください。」

「ありがとうございます。一生懸命の花を咲かせます。」



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