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色絵
第7章 満開
ズクッ…
その色気に全身が奮い立つ。
百合の着物の襟を右手につまみ、僕の脇を通る。裾を開いた着物を従え、ゆっくりと足を進める貴女に、高いポックリ下駄を回し歩く花魁の気品が漂う。
そして今度は、通り過ぎてからチラリと後ろを向き、流し目を寄越すのだ。
ワタシは歩けるのよ。
逃がしたくなかったら追いかけなさい。
そんな風に去っていくのだ。僕はグッと拳を握る。
思わず呼び留めたくなる色香だったから…
そして壁の方まで行き、ゆっくりと向きを変えてこちらに向かってくる。
そしてピタリと止まり、着物でヴィーナスのポーズを取った。
広がる着物を直すよりも、このまま色付けを始めた方がよい。
僕は色作りを始める。色合わせの必要もない。肌の色はもう目に焼きついていたし、貴女の情欲も十分に色付いていたから…
臍に筆を置き、その周りの女の源から色づける。そこから下へと筆を進める。
百合が歩き出してしまわぬよう、色づけをしていく。貴女の強い想い、激しい情欲を逃さないよう筆を進めて行った。
コトリッ…
先生が筆を置く。そしてワタシに向かってくる。無言で手を引かれ客間に連れて行かれる。