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色絵
第2章 入門

「貴女はいつも、謝ってばかりだ。

僕はね、人付き合いは苦手だけど、自分のしていることには自信というか、自負はあるよ。

絵には心が現れるからね。迷いながら描いたら一発でわかる。
絵を描くのも一つのコミュニケーションなんだよ。」

ワタシは何も答えられなかった。


「先生の先月の桜の花は、遠目にみていたので、よくわからないですけど、

今月の絵は、葉が瑞々しくて、青い実が今にも色付いていきそうで、
今日は昨日より色付いたんじゃないかと、見直すほどに生き生きとしていて、

絵というより、描かれたものが、紙の中で生きているようで、一目で引き込まれてしまいました。」

「嬉しいね。そう描いていて、そうに見てくれる人がいるとは…」

先生が、振り向いて話す。その表情が本当に嬉しそうで、こっちまで嬉しくなってしまう。

今、描かれている薔薇も、一番開いている大輪が、芯の方から塗られていて、半分くらい塗られている。

「貴女が、薔薇を色付けするなら、どこから始める?」

「先生とは反対に、外側の花びらからでしょうか…」


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