この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
色絵
第4章 色付け
「最初は手っ取り早く実物に塗って比べるんです。
慣れてきたら、大体で構わないし、実物に忠実になりすぎる必要もないですよ。」
テーブルのりんごが手元に置かれ、色をりんごに塗って確かめる。
失敗したらりんごを拭いて、また色あわせをする。
そのあと、平面的に描く、影だけで捉える、両方でと昨日のデッサンのように練習した。
「最後に内面を捉える練習をしましょう。」
先生はナイフでりんごを2つに切る。
切った面と今まで見えていた部分が並べられ、それを描く練習をする。
終わるとりんごを合わせて、もう一度元の状態にする。
「さっきみた内面もイメージして描くんですよ。味覚を想像するのもいいでしょう。」
先生の説明のようにして練習する。
先生の絵を見ているから、出来映えはあまり良くないが、教わるまえよりはずっと良くなったと思う。
「いきなり完成したら僕の立場が無くなりますよ。」
先生が読み取って答えられた。ワタシそんなに分かりやすいのかな…
モデルになったら、ナイフのような先生の心眼に切り開かれてしまうのだろうか…
「午後もお待ちしてますよ。」
先生が微笑みながらおっしゃった。