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色絵
第4章 色付け
先生が居なくなる。ワタシはそのままの姿勢で留まる。体は熱くなる一方だった。
先生が戻ってきて、ワタシの前に立ち、着物を拡げて見せてくださる。淡い黄色の地に淡い紫の芍薬が印されたものだった。
「綺麗…」
「まずは淡い色がいい。貴女の色が濃くなっていったら、合わせて濃い着物にしていきましょう。」
先生が着物をワタシの肩に掛ける。
「袖だけ軽く通してみてください。」
「それでいい。凄く綺麗だ。」
先生の声が拓かれた襟足にかかる。肌に唇が触れそうなほど近くにあるのを、露にされた肌が感じた。
先生に吹き込まれた熱が着物に閉じ込められた体に回る。どんどん熱が篭り芯が濡れ浸食する。駆け巡る熱は出口を失いワタシを乱していった。
先生が離れていっても熱は褪めない。
先生が屈み、着物の裾を乱し、ワタシの足を前後にずらす。
足袋越の感触が一気に駆け上がり、その付け根にある女の芯がズクッと疼いて蜜を滴らせた。
先生が椅子を引き、腰掛けて筆を取ったようだ。
筆先が紙に触れる僅かな音まで耳が拾う。
サッ…サッ…
何処を描いているのか想像するとその部分を筆で撫でられる感覚になるのだ。