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色絵
第4章 色付け
「だから辛くなったらと言ってあったでしょう…」
奥さんに近づいた。
「ワタシ…」
「同じ姿勢を続け過ぎて全身がツってしまったんでしょうね。」
色の話はあえてしない。これ以上辱しめる必要はなかったから。
そろそろと体を起こして立ち上がろうとするから手を差し伸べる。
おずおずと奥さんが手を取る。少し引っ張り立たせた。
左手同士を重ね、斜め後ろを歩き、倒れたら支えられるように右手を空けておいた。
それだけでも奥さんは恥ずかしそうだった。
「先生…絵を見てもいいですか?」
「途中の絵を見てしまうの?」
「見たいです。」
先生はご自分の斜め後ろにワタシの椅子を用意してくれた。そして別のテーブルを出し紅茶を用意している。
ワタシは雷が体を貫いたところまでの記憶しかなくてそれが何だかも知らなかった。
先生がそのことに触れないようにしてくださっていて、その優しさに甘えた。
「紅茶の方が落ち着くかと思ってね。」
先生は優しく微笑む。
細やかな気遣いが心を軽くしてくれる。
「今日はモデルはおしまい。着物の柄だけ仕上げてしまうよ。貴女は見ているだけにしなさい。」