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色絵
第4章 色付け
着物の柄の芍薬が色付けられていく。実物の柄より艶かしく、零れるほどの花びらは瑞々しかった。
色付けが終わる。
先生は明日までこれ以上進めないからと、ワタシに帰るようにおっしゃった。
少し早めで残念ではあったけど、今日は先生のいう通りにして屋敷をあとにした。
家に帰ると夫から食事は要らないと留守電が入っていた。
ワタシは、簡単に食事を済ませ、先生のリンゴと自分のリンゴの色紙を見ながら早めにベッドに入る。
リンゴに触れると、テーブルに置かれたリンゴがはっきりと目に浮かぶ。
先生も目を瞑ればワタシの体が浮かぶだろう。
甘い痺れを感じながら、いつの間にか眠りについていた。
翌朝、色紙はサイドテーブルに立て掛けられていた。
昨日握りしめたまま眠っていたようで、きっと夫が片付けてくれたのだろう。
朝起きてからのワタシは、屋敷に早く行くことしか考えていなかった。
午後のモデルの時間、先生に同じように襟足を抜かれ、足の位置を直される。
ワタシの体はまだ慣れず熱を籠らせた。
「完成したよ。」
30分程で先生に声をかけられた。
ワタシは振り返り先生の方に向かう。