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色絵
第4章 色付け
「これがワタシ?」
「そうだよ。」
先生はクスクスと笑う。
そして真剣な面持ちに変わった。
「この先もモデルを続けますか?」
「はい。」
正直、絵の女性がワタシという実感がなかった。後ろ姿だからかも知れない。
「僕はね、女性を描くなら迸る色を描きたい。貴女にそれができるかな…」
「先生に描いて貰いたいです。」
頭を下げて頼む。ワタシは必死だった。
「珈琲で休憩しようか…それから、もう一枚芍薬を描くよ。」
休憩のあと、別のテーブルと紙が用意され、ワタシは窓際に立たされた。
先ほどより先生との距離が近い。
「後ろ姿を描くよ。まだ顔を合わせるのは難しいと思うからね。」
先生が言いながら御太鼓をほどく、体が硬直して何も言えない。
ハラリと帯が床に落ちる。そして上掛けに芍薬の着物が着せられた。
「袖を通して…」
優しい口調なのに、それは命令のようだった。
先生が離れて椅子に座る音がする。
「下帯を取って前に落としてください。」
ワタシは言われた通りにする。白い着物を留めるものが無くなった。
「芍薬と白の着物の襟を合わせたら後ろに垂らして、腰骨が見えるところまで脱いでください。」