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色絵
第4章 色付け
「では描き始めますよ。
無理をしないでくださいね。倒れたら大変なことになってしまいますから…
疲れたら着物を羽織ってください。」

先生の言葉はワタシの羞恥と欲を煽る。
倒れて全てを見られても構わないとさえ思う。

そして着物で覆われていない分、熱は籠らないはずが、体は熱くなり、赤く染まっていった。

筆の音がする。午前中、被写体を穴が開くほど見て描いているから判る。

先生の視線がワタシの体を貫き見えない筈の前面も、見て欲しいと願う内面も見透かしているということを…

先生、裸のワタシを、見て欲しいと願う淫らなワタシを全て絵に留めてください。

ワタシという女が居た証を、紙に、先生の心に刻んでください。


心を決めた女性がこれ程までに美しく淫靡な輝きを放つのを見るだけで高揚する。

思った通り貴女は大輪の芍薬になる。僕の筆は目であり、指になる。貴女の背中、脇に零れる胸の膨らみ、着物の芯から溢れる蜜までも、紙に留めてあげよう。

何処にも逃げ出すことの無いように、絵の中に綴じ込めてあげよう。

想いより早く筆を動かし輪郭を捉えていく。
貴女は囚われの身になったと気づいているのだろうか。
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