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色絵
第4章 色付け

筆で見るように触れるように描いていく。

貴女のしなやかな背中、腰に向けてのくびれ、そこにあるえくぼのような窪み、

すぐ下にある可愛い尻の始まりを彷彿させる膨らみ、
輪郭以外は背骨を墨で入れるだけだが、その形でこの絵の全てが決まる。

ふっくらとした乳房が少し覗いている。脇のラインでなく乳房の始まりに墨を入れた。

直接、貴女の香りが鼻腔に届く。胸いっぱいに吸い込みたくて、クンッと鼻がなった。
もう触れたと同然だった。


先生の筆の音がする。そしてクンッという音も、荒くなった吐息さえ、聞こえてくる。温かい視線に、ワタシは抱き締められていた。


コトリッ…

筆を置く音がする。


「着物を羽織って下帯を留めてください。
やはり貴女は無理をしてしまうから…」

また30分程度で休憩となる。

「輪郭は入れ終わりましたよ。ソファーにゆったりしてくださいね。」


帯を結び後ろを向くと、絵は隠されていた。

「今日は仕上がらないからね、見ない方がいい。」

先生は察しておっしゃった。


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