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色絵
第4章 色付け
ソファーに座り体重を預ける。先生が絵を掛けていたカーテンを開ける。そこには、赤い着物の女性の絵が無くなって、白い壁になっていた。
「先生、ここの絵は?」
先生は仕上がった方のワタシの絵を額にはめながら言った。
「引っ越していかれましたよ。」
「え?」
「喧嘩になったら困るでしょう?」
クスクスと笑う先生…
神妙にならない為の冗談。
「此処は貴女のスペースにしたから…
日本茶にしましょうか?」
「はい。」
「今日中に出来れば貴女の肌の部分を仕上げたい。日で様子が変わりやすいからね」
週末になり2日間教室に来れないことを先生に伝えてあったからだ。
先生が絵を飾る。まさか飾られるとは思っていなかったので恥ずかしい。
「立てば芍薬に始まる美しい女性の形容詞をご存知ですか?」
「はい…」
「丁度その3つの花の着物があるのでね。それをモチーフに描いていきたい。此処は貴女のスペースにしますよ。」
壁一面を指差して先生はおっしゃった。
何枚も描いてくださる。この時は単純に嬉しかったのだ。この先に起こることなど知るよしもなく。