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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第65章 第一部完 兄との思いがけない巡り合わせ
オレはただ呆然と立ち尽くしていた。
だが兄は耳元で低い声でポルトガル語で囁いた。
「Finalmente percebi que a mosca irritante! Este ano vai ser para você no ano passado. Entretanto, glorifica a vida.(ようやく見つけ出したぞ目障りなハエめ。今年はお前達にとって最期の年になる。まぁせいぜいそれまでの間人生を謳歌しろよ)」
一瞬背筋が凍る程の低く抑制の無い声だった。
「え?今何て…」
ここにいる連中にポルトガル語が分かる者はいなかった。
兄はハグを解き、また陽気な笑顔で今の言葉を訳した。
「こうやって弟に巡り合わせるなんて、きっと神の思し召しに違いない。今年はいい年になりそうだ、って言ったんだよ、リョースケ」
そうなのか…兄もオレに会いたがっていたのか。
「お兄さん、これから皆で初詣に行くんだけど、お兄さんも一緒にどうですか?」
ヒロトはオレたちは試合が終わったら、都内の大きな神社に初詣に行く予定で、兄も参拝に誘ってみた。
「あぁ~、ごめんなさい。私、朝には空港に行ってブラジルに帰らないとダメです。
また日本に来ます。その時、皆で遊びましょう」
申し訳なさそうな顔をして兄は参拝を遠慮した。
オレは今まで教えてくれなかったおじさんに対する複雑な思いと、兄に会えた嬉しさが入り交じって何とも言えない心境だった。
…だが、この兄の出現により、ここにいるオレを含めた四人と母親、そして病院で検査を受けているカズにとって最悪な年の幕開けとなったのだ…
第一部完
だが兄は耳元で低い声でポルトガル語で囁いた。
「Finalmente percebi que a mosca irritante! Este ano vai ser para você no ano passado. Entretanto, glorifica a vida.(ようやく見つけ出したぞ目障りなハエめ。今年はお前達にとって最期の年になる。まぁせいぜいそれまでの間人生を謳歌しろよ)」
一瞬背筋が凍る程の低く抑制の無い声だった。
「え?今何て…」
ここにいる連中にポルトガル語が分かる者はいなかった。
兄はハグを解き、また陽気な笑顔で今の言葉を訳した。
「こうやって弟に巡り合わせるなんて、きっと神の思し召しに違いない。今年はいい年になりそうだ、って言ったんだよ、リョースケ」
そうなのか…兄もオレに会いたがっていたのか。
「お兄さん、これから皆で初詣に行くんだけど、お兄さんも一緒にどうですか?」
ヒロトはオレたちは試合が終わったら、都内の大きな神社に初詣に行く予定で、兄も参拝に誘ってみた。
「あぁ~、ごめんなさい。私、朝には空港に行ってブラジルに帰らないとダメです。
また日本に来ます。その時、皆で遊びましょう」
申し訳なさそうな顔をして兄は参拝を遠慮した。
オレは今まで教えてくれなかったおじさんに対する複雑な思いと、兄に会えた嬉しさが入り交じって何とも言えない心境だった。
…だが、この兄の出現により、ここにいるオレを含めた四人と母親、そして病院で検査を受けているカズにとって最悪な年の幕開けとなったのだ…
第一部完