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アナザーストーリー【快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体】特別編
第28章 ブラジリアン柔術を使うマフィア
褐色の肌の男はコーチを達也と呼んだ。

近々、サンパウロで開催するバーリトゥード(何でもあり)の試合に出場する為、達也とスパーリングに明け暮れていた。

褐色の肌の男はサントスという名前で、試合には達也がセコンドに付く予定だ。

この柔術の道場があるリオデジャネイロのスラム街にはあらゆる危険が潜んでいる。

貧しい者達の集まりで、強盗、強姦に殺人。
自分の身は自分で守るしかない。

達也とサントスはこの道場で知り合い、柔術を学んだ。

そして互いの上半身にある大きな十字架のタトゥー、これは何を意味するのか…


父親は貿易会社に勤務し、日本とコロンビアを股にかけて飛び回ったビジネスマンだ。

達也は現在、コロンビアの高校を卒業後、ブラジルに移り、リオデジャネイロ近郊にある大学に通っている。

そこでサントスと知り合い、ブラジリアン柔術を学び、あっという間に黒帯を取得した。

日本やアメリカでは総合格闘技の大きなイベントが開催され、トップクラスになると、破格のファイトマネーを手に入れる事が出来る。

この道場の師範は達也を総合格闘技界でトップクラスを狙える程の実力を持っている。

だが達也はそれを断った。

この道場で柔術を教えながら大学に通うだけで十分だ、と。

達也にはもう一つの顔を持っていた。

そのもう一つの顔の為に表舞台には出る事が出来ない理由がある。

達也が表舞台に出れない理由、それはリオデジャネイロを拠点にするマフィアの組織の一員だからだ。

立花達也、当時20才。
かつて兄弟だった関係の亮輔と会うのはまだ先の事だった。




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