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第1章 シーン　1

　大輔が言った状況は本当ならあたしも興奮するだろう。夫に内緒の不倫。しかもその相手は夫の親友なのだ。しかし、実際は夫が認めた公認の浮気。安全な逃げ道が確保されている絶体絶命の脱出イリュージョンを演じているマジシャンの心境かもしれない。
「いいわよ。でも上手くいかないかもしれないから。それでも良いんでしょ？」
「勿論さ、駄目でもいい。そのプロセスだけで結構昂ぶるような気がするんだ。」
　大輔が求めているのはより強い刺激に他ならなかった。