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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】 涙の味
「可哀想に、どれだけ心淋しい想いをしていることだろう。私が不甲斐ないばかりに、そなたには哀しい想いばかりさせる」
今、明姫がここにいたら、大好きな揚げパンを心ゆくまで食べさせてやれるのに。ユンはそう思い、我ながら色気のないことだと一人で笑う。
ユンの眼から熱い滴がしたたり落ち、手のひらに落ちた。涙は明姫の作った蕗の薹の砂糖煮を濡らす。ユンは二個目の菓子をまた口に含んだ。今度はこれが最後だから、ひと口ひと口、ゆっくりと味わうようにして食べた。
今、明姫がここにいたら、大好きな揚げパンを心ゆくまで食べさせてやれるのに。ユンはそう思い、我ながら色気のないことだと一人で笑う。
ユンの眼から熱い滴がしたたり落ち、手のひらに落ちた。涙は明姫の作った蕗の薹の砂糖煮を濡らす。ユンは二個目の菓子をまた口に含んだ。今度はこれが最後だから、ひと口ひと口、ゆっくりと味わうようにして食べた。