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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】 涙の味
「これは」
ユンは紙に載ったそれを一つ摘んで口に放り込んだ。甘くてほろ苦い味が口中にひろがる。蕗の薹だった。明姫らしいと、ユンは微笑み、二つ目を大切な宝石を扱うような手つきで掌に乗せ、じいっと見つめた。
「そういえば、明姫は菓子作りが得意なのだと言っていたな」
変わった娘だ。揚げパンも大好物なのですと笑いながら言っていた。四年前、明姫の実家に二人で結婚の挨拶に出向いた時、その帰りにユンの〝隠れ家〟に寄った。市で買い求めた酒肴の中には揚げパンが入っていて、明姫は見ているユンが気持ち良いくらい、旺盛な食欲で揚げパンをぱくついていた。
ユンは紙に載ったそれを一つ摘んで口に放り込んだ。甘くてほろ苦い味が口中にひろがる。蕗の薹だった。明姫らしいと、ユンは微笑み、二つ目を大切な宝石を扱うような手つきで掌に乗せ、じいっと見つめた。
「そういえば、明姫は菓子作りが得意なのだと言っていたな」
変わった娘だ。揚げパンも大好物なのですと笑いながら言っていた。四年前、明姫の実家に二人で結婚の挨拶に出向いた時、その帰りにユンの〝隠れ家〟に寄った。市で買い求めた酒肴の中には揚げパンが入っていて、明姫は見ているユンが気持ち良いくらい、旺盛な食欲で揚げパンをぱくついていた。