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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
では、この男の父親というのは、捕盗庁を統率する更に上の部署―その長官だったのだろうか。思い悩む明姫の耳を真摯な声が打つ。
「その火事が起こって、二年後、父は狂い死にした。済まないと今わの際まで亡くなった部下たちに詫びの言葉を繰り返していた。誰が見ても明らかに事件性がある火事なのに、愕くべきことに、何の調査も行われなかったんだ。もちろん、ひととおりの形式的な取り調べだけはやるにはやって、後は誰もその夜のことについて口を閉ざした」
「それほどまでに不審な火事なのに、どうして、入念な調査が行われなかったのかしら」
「それは決まっている。火事を起こした首謀者が時の最高権力者だったから」
「その火事が起こって、二年後、父は狂い死にした。済まないと今わの際まで亡くなった部下たちに詫びの言葉を繰り返していた。誰が見ても明らかに事件性がある火事なのに、愕くべきことに、何の調査も行われなかったんだ。もちろん、ひととおりの形式的な取り調べだけはやるにはやって、後は誰もその夜のことについて口を閉ざした」
「それほどまでに不審な火事なのに、どうして、入念な調査が行われなかったのかしら」
「それは決まっている。火事を起こした首謀者が時の最高権力者だったから」