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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
 明姫はやはりと息を呑んだ。間違いない。彼の言わんとしているのは九年前の夜、明姫から一瞬にして、すべてのものを奪い去ったあの火事のことだ。
「私は父の死後、家門を継いだ。母は幼かった私の後見として、よく私を支えてくれた。そのことには感謝している。だから、強い女だと言った。だが、近頃、思うんだ。母が懸命に家門を守り続けてきたのは、私のためではなくて、自分のためではなかったのかと」
 動揺している明姫の心中など知らないように、男は淡々と続ける。
「最早、私は十四歳の子どもではない。家門を継いだばかりの当時は母の命令を何でも受け容れて従ってきたが、今は到底、そんなことはできない。私には私の考えがあるし、母とは物の見方も違う。
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