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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第14章 第三話 【観玉寺の廃妃】 祭りの夜
無邪気な歓声を上げるソリを片手で楽々と抱き上げ、ユンは話しかけた。
「済まない、ソリ。そなたのような親を失い、哀しみに暮れる子どもがいないような国を必ず作ってみせる。だから、心を強く持って、もう少し辛抱してくれ」
ユンはソリをそっと地面に下ろし、袖から持ち重りのする巾着を小さな手に握らせた。
「これを持って帰りなさい。これだけあれば、お母さんもしばらくは早く家に帰れるだろう。ここには一人で来たのか?」
「うん、お母さんは今日も町に出かけてるから、私一人」
あどけない声で言うソリはまだ本当に頑是ない。こんな小さな子が父親逢いたさの一心で険しい夜の山道を一人、上ってやってきたのだ。そのいじらしい心根を思うと、明姫も涙が出そうになる。
「済まない、ソリ。そなたのような親を失い、哀しみに暮れる子どもがいないような国を必ず作ってみせる。だから、心を強く持って、もう少し辛抱してくれ」
ユンはソリをそっと地面に下ろし、袖から持ち重りのする巾着を小さな手に握らせた。
「これを持って帰りなさい。これだけあれば、お母さんもしばらくは早く家に帰れるだろう。ここには一人で来たのか?」
「うん、お母さんは今日も町に出かけてるから、私一人」
あどけない声で言うソリはまだ本当に頑是ない。こんな小さな子が父親逢いたさの一心で険しい夜の山道を一人、上ってやってきたのだ。そのいじらしい心根を思うと、明姫も涙が出そうになる。