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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
ぺク氏ではなく、李氏を名乗るということは、彼は少なくとも領議政の弟たちの息子ではないと判る。ならば、既に他家に嫁した妹たちの誰かが生んだ息子なのだ。
「そういえば、そなたの名前もまだ訊いていなかったな。名前も知らないのに、何か色々なことを喋ってしまった。名前、何ていうの?」
「明姫」
「姓は?」
思わず蘇氏と言いかけて、慌てて言い換える。
「金(キム)氏よ」
「金明姫。良い名前だ。先刻、そなたに簪とノリゲを贈った時、玉の色が夜明け前の空のようだと言ったね。明姫という名は、まさに夜明けの空の色を象徴しているように思える。夜明けの空に差す真っすぐなひとすじの光が眼の前に浮かぶようだ」
「そういえば、そなたの名前もまだ訊いていなかったな。名前も知らないのに、何か色々なことを喋ってしまった。名前、何ていうの?」
「明姫」
「姓は?」
思わず蘇氏と言いかけて、慌てて言い換える。
「金(キム)氏よ」
「金明姫。良い名前だ。先刻、そなたに簪とノリゲを贈った時、玉の色が夜明け前の空のようだと言ったね。明姫という名は、まさに夜明けの空の色を象徴しているように思える。夜明けの空に差す真っすぐなひとすじの光が眼の前に浮かぶようだ」