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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
だが、自分の想いに囚われてしまっている男には、そこまでは思い至らなかったようだ。彼は頷いた。
「そう。私の伯父が火事に見せかけて、大勢の人の生命を奪ったんだよ」
町で両班の放蕩息子から明姫を庇ってくれた時、彼は自分が領議政の甥の友人だと言った。だが、彼は友人などではなく、甥その人だったのだ。
領議政には現在、国王の母として尊崇を受けている妹の他にも同腹、異腹の弟妹がたくさんいるという話だ。この男もその数ある異母弟妹の息子なのだろう。
「今更だけど、あなたの名前は?」
さりげなく訊ねると、すぐに〝イ・ユン〟と返ってきた。
「そう。私の伯父が火事に見せかけて、大勢の人の生命を奪ったんだよ」
町で両班の放蕩息子から明姫を庇ってくれた時、彼は自分が領議政の甥の友人だと言った。だが、彼は友人などではなく、甥その人だったのだ。
領議政には現在、国王の母として尊崇を受けている妹の他にも同腹、異腹の弟妹がたくさんいるという話だ。この男もその数ある異母弟妹の息子なのだろう。
「今更だけど、あなたの名前は?」
さりげなく訊ねると、すぐに〝イ・ユン〟と返ってきた。