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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第19章 第四話 【永遠の少女】 嫉妬
そんなある日、早咲きの桜が宮殿の庭園で最初に花開いた朝のことだった。
その日は朝からからりと晴れ、涯(はて)のない蒼穹が都漢陽(ハニャン)の上にひろがった。早い春の到来を予感させる陽気に、明姫はヒャンダンの勧めもあり、庭園を散策することになった。
「綺麗ね」
明姫はまだ漸く一分咲きといった桜を見上げ、感に堪えたように呟いた。
「不思議だわ。ウンを失った直後は私の回りの世界もすべて灰色に塗り込められて、私は色のない世界に生きているようだった。でも、今は違うのよ。幾ら人間が嘆き哀しもうと、こうやって季節はめぐり、また花咲く春がやってくる。今はこの咲いたばかりの花の中に、蒼い空の向こうに、ウンの笑顔が見えるような気がするの」
その日は朝からからりと晴れ、涯(はて)のない蒼穹が都漢陽(ハニャン)の上にひろがった。早い春の到来を予感させる陽気に、明姫はヒャンダンの勧めもあり、庭園を散策することになった。
「綺麗ね」
明姫はまだ漸く一分咲きといった桜を見上げ、感に堪えたように呟いた。
「不思議だわ。ウンを失った直後は私の回りの世界もすべて灰色に塗り込められて、私は色のない世界に生きているようだった。でも、今は違うのよ。幾ら人間が嘆き哀しもうと、こうやって季節はめぐり、また花咲く春がやってくる。今はこの咲いたばかりの花の中に、蒼い空の向こうに、ウンの笑顔が見えるような気がするの」