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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと
小さな一軒家を出る頃には、町は完全に夜の気配に包み込まれていた。二人はただ黙って人気のない路地を歩く。路地を抜けて大通りに出た途端、嬌声が二人を迎えた。
「ちょっと、そこの旦那さま」
最初、ユンは自分のこととは気づかず、足早に歩いていた。
「ねえ、そこの旦那さまってば」
後ろから袖を引かれ、漸くユンが振り返ると、二十代前半と見える色っぽい女が佇んでいた。派手な衣装や化粧・髪型から見て、妓生(キーセン)のようである。
「やっぱり。見れば見るほど良い男。どう? 今夜はあたしのいる妓楼に来ない? あたしの敵娼(あいかた)になってよ」
「ちょっと、そこの旦那さま」
最初、ユンは自分のこととは気づかず、足早に歩いていた。
「ねえ、そこの旦那さまってば」
後ろから袖を引かれ、漸くユンが振り返ると、二十代前半と見える色っぽい女が佇んでいた。派手な衣装や化粧・髪型から見て、妓生(キーセン)のようである。
「やっぱり。見れば見るほど良い男。どう? 今夜はあたしのいる妓楼に来ない? あたしの敵娼(あいかた)になってよ」