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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~
この聞き憶えのある声は。
明姫はハッとして抵抗を止めた。
「あなた―」
思ったとおり、眼前にあるのはユンの整った顔である。
「何で、こんな馬鹿げたことを―」
言いかけた明姫に向かって、〝シッ〟と自らの唇に人差し指を当ててみせる。
「今夜、二人きりで逢おう」
「なっ―」
あまりの展開に言葉も出ない。
「後宮の一角に、桜草が群れ咲いている場所がある。今は使われなくなって久しい殿舎の庭園だ。その殿舎で待っていてくれ」
言うだけ言うと、ユンは何食わぬ顔で明姫から離れた。後は振り向きもせずに通路を足早に歩き去っていく。今日も、蒼の官服を纏っていたから、仕事の途中なのだろうか。
明姫はハッとして抵抗を止めた。
「あなた―」
思ったとおり、眼前にあるのはユンの整った顔である。
「何で、こんな馬鹿げたことを―」
言いかけた明姫に向かって、〝シッ〟と自らの唇に人差し指を当ててみせる。
「今夜、二人きりで逢おう」
「なっ―」
あまりの展開に言葉も出ない。
「後宮の一角に、桜草が群れ咲いている場所がある。今は使われなくなって久しい殿舎の庭園だ。その殿舎で待っていてくれ」
言うだけ言うと、ユンは何食わぬ顔で明姫から離れた。後は振り向きもせずに通路を足早に歩き去っていく。今日も、蒼の官服を纏っていたから、仕事の途中なのだろうか。