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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第24章 第二部【身代わりの王妃】 ひそやかな恋情
私は断じて、そなたの兄などではない。春花にそう叫んでやりたかった。自分という存在をこの娘が受け容れていないことはいやというほど知っているけれど、まさか、男として認識していなかったとは予想外だった。
「そなたの決意は、まだ変わらないのか?」
重ねて問うても、返事はなかった。ややあって、低い嗚咽が洩れてきて、ユンは愕いた。
春花は泣いていた。
「私は親不孝者です。領相大監も実家の父も口を揃えて、殿下の御子を産めと言います。でも、私にはそれができない」
ユンは少女の涙に胸をつかれた。別に泣かせようと思ったわけではなかった。ただ、良人の立場にいる自分を〝兄〟だと言い切った春花が恨めしかったのだ。
「そなたの決意は、まだ変わらないのか?」
重ねて問うても、返事はなかった。ややあって、低い嗚咽が洩れてきて、ユンは愕いた。
春花は泣いていた。
「私は親不孝者です。領相大監も実家の父も口を揃えて、殿下の御子を産めと言います。でも、私にはそれができない」
ユンは少女の涙に胸をつかれた。別に泣かせようと思ったわけではなかった。ただ、良人の立場にいる自分を〝兄〟だと言い切った春花が恨めしかったのだ。