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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い

父を、母を、弟をすべてを一瞬で失った明姫には、大切な存在を持つということが酷く怖ろしく思えた。失って絶望に沈むよりは、最初から大切なものを持たねば良い。それが左議政にすべてを奪われた少女の辿り着いた哀しい諦観であった。
自分はこのまま女官として生きても良い。家門の復興は無理に婿を取って子を儲けずとも、いずれ養女でも迎えれば済むことなのだから。それに、結婚すれば、やはり良人や我が子が何より大切な存在になる。そうやって大切な存在を作ることに大きな憧れはあるけれど、それ以上に、それらをある日突然、理不尽に奪われたとしたら、その痛みの方がはるかに怖ろしい。
自分はこのまま女官として生きても良い。家門の復興は無理に婿を取って子を儲けずとも、いずれ養女でも迎えれば済むことなのだから。それに、結婚すれば、やはり良人や我が子が何より大切な存在になる。そうやって大切な存在を作ることに大きな憧れはあるけれど、それ以上に、それらをある日突然、理不尽に奪われたとしたら、その痛みの方がはるかに怖ろしい。

