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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢
予知夢
明姫(ミョンヒ)は走っていた。あまりに懸命に走るので、途中で脚がもつれ転びそうになってしまう。それにしても、奇妙な夢であった。自分でもこれが夢の中の出来事だと判っているのに、妙に現実感がありすぎる。
そこで、彼女はハッとして背後を振り返る。巨大な紅い魔物のように見えるのは焔であった。今、紅蓮の焔が音を立てて燃えている。それはあたかも意思を持つ生き物のように蠢き、明姫を追ってくるのだ。
―止めて、それ以上、私に近づかないで。
声を上げる明姫をあざ笑うかのように、巨大な焔は刻一刻と迫りつつある。
明姫(ミョンヒ)は走っていた。あまりに懸命に走るので、途中で脚がもつれ転びそうになってしまう。それにしても、奇妙な夢であった。自分でもこれが夢の中の出来事だと判っているのに、妙に現実感がありすぎる。
そこで、彼女はハッとして背後を振り返る。巨大な紅い魔物のように見えるのは焔であった。今、紅蓮の焔が音を立てて燃えている。それはあたかも意思を持つ生き物のように蠢き、明姫を追ってくるのだ。
―止めて、それ以上、私に近づかないで。
声を上げる明姫をあざ笑うかのように、巨大な焔は刻一刻と迫りつつある。