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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス)
都承旨は巻紙をするすると元に戻し、両手で捧げ持つようにして来たときと同様、慇懃に退室していった。
「殿下」
足音が聞こえなくなってから、黄内官が気遣わしげに声をかけてきた。
ユンはほろ苦く微笑した。
「もう、何も言わないでくれ。よくよく考えて出した結論だ」
「承知致しました」
黄内官は眼を伏せ、数歩後ろ向きに下がった。
彼だけは真実を判っているはずだ。しかし、誰よりも王の心を理解する忠実無比な老内官が真実を口にすることは未来永劫あり得ない。
「殿下」
足音が聞こえなくなってから、黄内官が気遣わしげに声をかけてきた。
ユンはほろ苦く微笑した。
「もう、何も言わないでくれ。よくよく考えて出した結論だ」
「承知致しました」
黄内官は眼を伏せ、数歩後ろ向きに下がった。
彼だけは真実を判っているはずだ。しかし、誰よりも王の心を理解する忠実無比な老内官が真実を口にすることは未来永劫あり得ない。