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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離
明姫は針を持つ手を止めた。今、向かっているのは刺繍額である。白の絹布がはめ込まれており、そこには一対の蝶と桔梗が描かれていた。もちろん、明姫が刺繍したものだ。
義禁府に囚われの身となっている最中、ユンが一輪の桔梗を携えて逢いにきてくれた。あのときの歓びは忘れられるものではない。
肝心の花はとっくに枯れてしまったけれど、彼の真心の証として、いつまでも明姫の心の中で咲き続けている。
「どうかしら、蝶が少し小さすぎたような気もするのだけれど」
明姫が小首を傾げると、傍らに控えていたヒャンダンは微笑む。
義禁府に囚われの身となっている最中、ユンが一輪の桔梗を携えて逢いにきてくれた。あのときの歓びは忘れられるものではない。
肝心の花はとっくに枯れてしまったけれど、彼の真心の証として、いつまでも明姫の心の中で咲き続けている。
「どうかしら、蝶が少し小さすぎたような気もするのだけれど」
明姫が小首を傾げると、傍らに控えていたヒャンダンは微笑む。