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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離
ましてや、偽りとはいえ、明姫が懐妊したとなれば、その腹の子は大妃の孫にもなる。まさか、孫を身籠もった明姫を手に掛けるまではすまいと、心のどこかでユンは考えていた。だが、今回の示威行動を見ても、母は腹の子ごと明姫を葬り去りたいに相違なかった。
つまり、母の怖ろしさと執念深さをまだ理解し得ていなかったともいえる。
何事かに想い悩むユンを見ている中に、明姫の心にストンと落ちてきたものがあった。
「殿下」
明姫はまるで母親のように優しい声音で呼んだ。
「そのようにお悩みにならないで下さい」
ユンが弾かれたように面を上げる。
つまり、母の怖ろしさと執念深さをまだ理解し得ていなかったともいえる。
何事かに想い悩むユンを見ている中に、明姫の心にストンと落ちてきたものがあった。
「殿下」
明姫はまるで母親のように優しい声音で呼んだ。
「そのようにお悩みにならないで下さい」
ユンが弾かれたように面を上げる。