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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離
しかし、元々、華やかな衣装や宝飾品には興味がないため、今の暮らしもさほど堪えられないことはなかった。
明姫は上衣に結んだノリゲをそっと手に取った。懐かしい故郷漢陽の上にひろがる夜明けの空を閉じ込めたような美しい紫色の玉石は灰簾石(タンザナイト)というのだとユンが教えてくれた。
宮殿を出るに当たり、何も持ち出すことはしなかったけれど、唯一持ってきたのがこのノリゲだった。対になった簪の方は彼女自身の心としてユンの傍に置いてきた。
明姫は上衣に結んだノリゲをそっと手に取った。懐かしい故郷漢陽の上にひろがる夜明けの空を閉じ込めたような美しい紫色の玉石は灰簾石(タンザナイト)というのだとユンが教えてくれた。
宮殿を出るに当たり、何も持ち出すことはしなかったけれど、唯一持ってきたのがこのノリゲだった。対になった簪の方は彼女自身の心としてユンの傍に置いてきた。