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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第11章 第二話 【桔梗の涙】 しばらくの別離   
 すべてを書き付けると、明姫はその灯籠を境内の片隅にある池に浮かべた。薄桃色の絹に記された流麗な手蹟は、遠く離れた彼女の想い人に宛てた詩だ。
 今宵、供養に来た人は好きな灯籠を一つ選び、願い事を書いて池に浮かべる。そうすれば、御仏が必ず願いを聞き入れて下さるという言い伝えがある。
 あからさまに願い事を書けないので、漢詩に託して書いたのだ。
 明姫は今、木綿の簡素なチマチョゴリが普段着だ。自分はもう国王の側室でもなければ、女官でもない。王の怒りに触れ寵愛を失って廃された元妃だ。そんな身が昔のように豪奢な衣服を着られるはずもない。
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