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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第13章 第三話 【観玉寺の廃妃】 涙の味
「―」
明姫はまたしても蒼くなった。そういえば、確かにそんな出来事があった。昨日の昼下がり、いつものように小僧二人と明姫が本堂に集められ、慈慶和尚が御仏に読経を手向けている最中、明姫は完全に心ここにあらずの体になってしまった。
もちろん、ユンのことを考えていたのだ。いつしか唱えているはずの経もぴたりと止み、ボウと放心したように虚空を見つめていた。そこを慈慶和尚に見つかり、後でさんざん説教を聞かされたのだった。
「馬鹿だな、清慈。だから、淑媛さまが急に上の空になったのはオトコが原因だよ、オトコ」
慈然が知った口ぶりで言う。明姫はもう頭を抱えたくなった。
明姫はまたしても蒼くなった。そういえば、確かにそんな出来事があった。昨日の昼下がり、いつものように小僧二人と明姫が本堂に集められ、慈慶和尚が御仏に読経を手向けている最中、明姫は完全に心ここにあらずの体になってしまった。
もちろん、ユンのことを考えていたのだ。いつしか唱えているはずの経もぴたりと止み、ボウと放心したように虚空を見つめていた。そこを慈慶和尚に見つかり、後でさんざん説教を聞かされたのだった。
「馬鹿だな、清慈。だから、淑媛さまが急に上の空になったのはオトコが原因だよ、オトコ」
慈然が知った口ぶりで言う。明姫はもう頭を抱えたくなった。