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遠い日の約束。
第7章 囚われた過去
良い子良い子と頭を撫でられ、ふたりで抱き合っていると突然、俊樹のスマホのアラームが鳴りだした。
迎えが来る5分前にあらかじめセットしていたようだった。
そこから慌ててゆかたを着せて準備をして、ぎりぎりに間に合い迎えの馬車に乗った。
来た時とは違って長屋の前を通る時数人とすれ違う。
この馬車は別館専用らしく、すれ違う人達から羨ましい目で見られていた。
その中を馬車はゆっくりと進み、吊り橋の前で止まった。
ふたりで吊り橋を渡りながら、先程通った時と関係性が変わっていることに嬉しさを感じた。
今は私たちはれっきとした恋人同士。
これほどうれしいことはなかった。
母屋に到着すると半個室の食事処に通され、そこは吊り橋がある渓谷に面していて夕焼けに染まる木々がきれいだった。
夜になればライトアップされ、また違う顔が見えるのだと教えてもらった。
その移り行く風景を堪能しつつ料理を楽しむために座っている席は少し変わっていた。
逆ハの字形をしたテーブルに座り、景色を堪能できて、俊樹さんと完全な横並びにならないように工夫されていた。
テーブルの上にはあらかじめ八寸が用意されていて食前酒は自家製の梅酒が添えられてあった。
ビールを頼んでいる間に、その梅酒で軽く乾杯する。
梅の香りと甘めの梅酒は私の好みの味だった。
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