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遠い日の約束。
第7章 囚われた過去
「食べようか?」

俊樹が促し、八寸に手を付けた。
彩豊かで箸をつけるのがもったいなく、それでいて早く食べてみたいと思わせる。
まずは旬の食材の筍の木の芽和えを口にする。
口の中一杯に広がる山椒の香りが鼻に抜けて春の季節が私を包む。
他のモノも少しずつ口にいれていくと幸に満ちてくる。
程良く時間が過ぎれば椀物が運ばれてきた。
蛍烏賊と豆腐のあんかけでこれも美味しくいただく。
それから造り、蓋モノ、台の者、焼き物と続く。
どれをとっても申し分なく満足する。

「最後は筍ご飯になりますがいかがされますか?お夜食用におにぎりにもできますが」

季節もののタケノコご飯はそそられるけど、これ以上食べると動けなくなる。

「おにぎりにしてもらってもいい?」

「いいよ。…ではおにぎりにしてもらっていいですか?」

私の言葉を受けて仲居さんにお願いをする。

「かしこまりました。その間にシャーベットをお持ちいたしますね。さっぱりしていますので食べていただけるかと思います。」

そう言って、いったん引いた仲居さんは数分もしないうちにシャーベットをもって現れた。
柚の匂いがして、お腹いっぱいでも食べられた。

「ごちそうさまでした…もうお腹いっぱい」

全て食べ終えて一息入れる。
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