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遠い日の約束。
第8章 嫉妬と不安
ベッドから起き上がってドアを開けてみたら、俊樹は2時間前と同じ体勢でいた。
寝てるわけでもない。
ずっと悩んで自己嫌悪に陥っているのだろう。
ゆっくりと近寄って、隣に座った。
沈むソファーで私に気がついて顔を上げた。
その頬には涙が伝った跡が残っていた。
私は黙って彼を抱きしめた。
ただ抱きしめて私の存在を示した。

「俊樹…正直、春馬と2人であって触られて…ドキドキした…。」

身体がビクッとしたのが伝わった。

「だけど、その先に進みたいと思うのは彼じゃないと思った。私がそこから先に進みたいのは俊樹なんだって再認識したよ。でもごめんね。…私の中では春馬とのこともう終わった事だったから会って話すことも意識してなかったの…けど今回の事で逆だったらって思ったら、やっぱり嫌だって思った。俊樹が前の彼女とふたり会うなんて嫌だって…」

「私の方こそ…ごめん。大人げなかったと反省してる。三宅さんにも酷いことしたよね…もちろん華にも。情けない…こんなことで嫉妬して華を傷つけて…やっぱり華を傷つけてばかりだ…」

私の首筋に顔を埋めて俊樹が心の中を吐き出す。

「傷つかない恋愛はないと思うよ。喧嘩して悩んで傷つけあって、それでも一緒にいたいと思うのが本物だと思う。喧嘩もしない恋人なんて変だよ。傷つけあったら謝って、こうやって抱きしめ合えばいいんだし。ねっ」

「華は…昔も今も強いね…。人を許す強さをもってる…。」

「そうかな…」

「そうだよ…許されてきたから今がある…華…ごめんね。もう酷いことしないから…一緒に寝ていい?」
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