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遠い日の約束。
第10章 記憶の破片
「草野!今年の花見なんだけどなぁ…」

部長が私を呼びながら面倒な顔をする。
お花見…今年もそんな時期がきたんだと時の流れの速さを実感する。
今年はいつもより遅い開花宣言が発表された。
それによって、会社での花見も一週間ずらして開催されることになった。
イベント好きな会社。
お花見、花火大会、お月見とイベントを良いことに飲んでは騒いでのお祭りを楽しんでいた。
それも意外と嫌いじゃない。
普段、交流がない部署の人たちも混ざったりするので面白かった。
そして今年の準備担当は営業部。
誰が指名されるのかとびくびくしていると案の定私が指名された。
理由は「暇だろう?」だった。
別に暇ではない。
だけど、優秀なふたりの補佐…
他の人より仕事が少ないのは確かだった。
そして、新入社員の高宮 誠も指名された。
秋ごろからバイトで来ていたといっても、正式に入社して1週間…その人選かわいそうだと素直に同情した。

「高宮くん。手配は私がするから大丈夫よ…」

「いえ!俺、しっかりと務めさせてもらいます」

ハキハキと笑顔で返事する高宮くんは確か23歳。
まだ大学を出たばかりの彼の笑顔は幼くも感じ、これからの新しい生活に意気揚々と輝いて見えた。
それが高感度をあげていた。

「頼もしいね…でもほとんどすることないのよ。食べ物と飲み物と場所さえ確保すればあとは個人の自由。なので当日の場所取り一緒にお願いね。」
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