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遠い日の約束。
第11章 情と愛
「華おいで…」

寝る準備をしてベッドルームに行くと、先にベッドに入っていた俊樹が私を呼ぶ。
その手を取り、俊樹に抱かれるようにベッドに中に入った。
ギュッと握りしめてくる腕に涙が出そうになる。
この腕の中にずっといられると思っていた。
一生…死ぬまで俊樹と寄り添いながら生きていくのだと疑う事もなかった。
埋まることのなかった隙間が俊樹によって埋められて、私は幸せになれると信じていた。
けど、それを壊したの私…
そして大切な人を傷つけて悲しませるのなら…

「ねぇ…俊樹…」

「どうしたの?」

名前を呼ぶと、いつものように優しい声が帰ってくる。

「…抱いてほしいの…」

私の一言に、俊樹は何も言わない。

「…もう…抱いてもくれないの……?」

顔を見るのが怖くて、俊樹の胸に顔を押し付けて聞いた。
俊樹の手が優しく私の背中を撫でながら、髪の毛にキスをする。

「帰って来てから…きちんと話をしよう…。きちんと話をして…それから決めて…。私がいない間に、勝手に出て行かないで」

やっぱり、俊樹はすごいと思った。
私が、この家を出て行こうとしていることに気がついていた。
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