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遠い日の約束。
第12章 それぞれの想い
金曜日の夕方にクライアントに会うからと、大きな荷物を持ち俊樹と家を出た。
いつの間にか会社まで一緒に行けるようになっても、心が離れていれば意味がない。
そう仕向けたのは私なのに寂しさだけが溢れ出そうになる。
満員電車に揺られながら、いつものように寄り添う時間はたまらなく空しい。
触れ合う温もりが、これが最後かと思うと泣き出してしまいそうになる。
それを我慢して、そっと寄り添っていた。
私の想いを感じ取っているのか、握っている手に力が籠る。
行かないで!と言っている気がした。
電車を降りると流石に繋がれた手は解かれ横一列で歩いて行く。
見慣れた光景がやけに暗く感じた。
社内ではいつもどおりやりすごす。
だから、春馬も部長も私たちの変化に気がついていない。
それでいい。
気がつかれたら心配をかけてしまうから。
お昼過ぎに、俊樹は出張にでかけた。
でかける間際、私の傍に来て耳元で言う。

『どこにもいかないで…』

と…。
その表情は悲痛に歪み、辛そうだった。
そんな表情をさせるのは私のせい…
私はやっぱり消えたほうが良い…
そう思わされる表情だった。
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