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遠い日の約束。
第12章 それぞれの想い
「華…感謝してる。一番辛い時、傍にいてくれてどんなに励まされたか…あの時、華たちがいなければ、たぶん、こんな気持ちにはならなかった…。あの時のふたりを見ていて思ったんだ…。立花は華の全てを愛している。どんな過ちをしようともそれごと受け止める器を持ってる。それは自己犠牲でもなんでもない。ただ手離したくないという思いだけ。他には何もない。……弱っている俺のために立花と別れる覚悟をしていても、最後の最後には立花を裏切らない。自分が取る相手を間違わない…すごいと思ったよ。それだけ思い合っているふたりを見て…完璧に負けたと思った…」

春馬は嬉しそうに笑った。

「でも、裏切った事には変わりはないよ。」

私の一言に真剣な瞳を向ける。

「その過程はどうでもいいんだ。誰だって余所見をすることだってある。だけど最後に間違わなければいい…。華は間違わなかっただろう?」

「だけど…奥さんは嘘をついたんだよ?春馬の子供じゃないのに春馬の子供だって嘘ついたんだよ?」

そう。
奥さんは一番ついてはいけない嘘をついた。
そして、私が与えて上げらない物で縛ろうとした。
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