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遠い日の約束。
第13章 混在する記憶
愛してると何度も伝え、久しぶりに心から幸せを感じた。
これも部長や春馬のおかげだと思うと、何かお礼をしなければと考える。
だから気がつかなかった。
背後から忍び寄る影がスマホの画面に影を落とすまで、この家に私以外に人がいることに気がつかなかった。
気がついた時には遅く、振り返るより先に誰とも分からない人物に抱きしめられた。
荒い息が耳に当たり気持悪く恐怖が全身を駆け巡る。

「やっと、ふたりっきりになれたね…華…」

耳元で囁かれる声は聞き覚えのある声だった。
だけど、どうして彼が部屋の中にいるのかと思うとゾッとする。

「ずっと見てたよ…立花さんが出張にでかけて俺ラッキーだよな…」

ゾワゾワっと全身に鳥肌がたち、恐怖で動けなかった。
この腕の中から早く抜け出さないと取り返しのつかないことになると分かっていても私の身体は石になったかのように動く事ができなかった。

「華と一緒になるのは俺だから…もう…立花さんには渡さない…」

抱きしめられていた手が解かれて、顔を彼の方に向けさせられた。
私の瞳に飛び込んできた彼の顔は、私が知っている人物だった。
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