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遠い日の約束。
第14章 想いの深さ
「華ッ!!華ッ!!」

華に届くように力強く呼ぶ。

―――帰って来て!!

「助けて…助けて…」

どうやったら、私の声が届く?
どうしたら、葉月ではく、俊樹の名前を呼んでくれる?

「葉月…た―――」

咄嗟にキスをしていた。
こんな半狂乱の華にキスをして逆効果かもしれないと思いながら、私を一番感じる方法はこれしかなかった。
触れるだけのキスしかできないけど唇を押し付けて、身体全体で華を抱きしめた。
手が不自由な華は身体を捩りながら抵抗する。
ガシャガシャと鳴る手錠の音が痛々しい。
華が傷ついていると分かっても、やめるわけにはいかない。
叫ぼうとして口を開いた瞬間に舌を滑り込ませる。
舌を噛まれたっていい。
それで華が正気に戻れるなら、どんな痛みにでも耐えてみせる。
いつもより激しく口内を荒らし、華の舌を捕らえる。
逃げようとする舌を追いかけ、離しはしない。
何度も絡ませ、唾液を流し込み華に私がいることを教える。
抵抗していた舌は次第に静かになり、弱々しく私の舌に絡ませ始めた。
そして、カチャカチャと鳴っていた手錠の音がしなくなった。
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