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遠い日の約束。
第14章 想いの深さ
もう少しだと感じて、いつも以上に心を込めてキスをする。
舌を絡ませれば華も絡ませる。
舌を離そうとすると縋る様に求めてくる。
いつの間にかいつものお互いを求めるキスに変わっていた。
久しぶりに華を感じるキスに夢中になりそうだった。

「ンアッ…」

華の口から甘い声が届いた。
それに気が付き、唇を離す。
いつものように髪を撫でながら華の名前を呼ぶ。

「華…?」

ピクリと華の身体が揺れた。
もう少し…

「華?」

その問いに、華の瞳がゆっくりと開く。
涙で濡れている瞳は、それでもはっきりと私を見つめた。

「俊樹…」

華の口から名前を呼ばれ、ほっとし、うれしかった。

「華?もう心配いらないから…」

髪の毛を撫でながら声をかけても、まだボーっとしていて完全には今の状況を理解できていないようだった。

「華…?私が分かる?」

瞳の奥を覗き込みながらもう一度聞く。
その言葉に、華の瞳が揺らいだ。

「しの…篠原さんと…デー…」

篠原さんの名前を耳にしてドキリとした。
彼女の叔父さんの手前デートを了承したことを華が知っていることにびっくりしながら、今は安心させたかった。

「するわけないよ。」

笑顔で告げると、どこかホッとしたように頷いた。

「…この手錠外すからまってて…」

鍵が必要な手錠かと思っていたが、ボタンを押せば簡単に外れるおもちゃに近い手錠だった。
手錠を外し、足元に落ちている毛布で包み抱きしめた。
やっと私の手の中に戻ってきてくれた。
今は、これでいい。
他は望まない。
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