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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
「過去の話をお前にしたのは苦しませるためではない。逝ってしまった後の事を知って欲しかったからだ。お前たちが苦しんで死を選んだように、残された人たちも同じだけの苦しみを味わった…南和は元凶かもしれないが…そこに至るまでの思いもある。…今は草野の幸せだけを考えてやれ。過去と切り離して…華だけを愛し守ってやれ」

部長の言葉を聞いて…完全に過去の自分に引きずられていたことに気がついた。
南和を憎むことに一杯で、今の華の状態を気遣ってあげられなかった。
もし全てを思い出していたら…
そっちの方が重要だという事を忘れていた。
そして今は、華が目覚めてくれることを祈るだけ。
部長の言うように過去に引きずられている暇なんてない。

「ありがとうございます…」

それだけ告げると、部長はいつもの優しい笑みを私に向けた。
そしてそのままふたりでソファーに座って時を過ごしていた。













「華!!華!!」

病室内がざわめき、華を呼ぶ声が幾重にも聞こえた。
華に何があったのかと急いで病室に向かた。
病室では家族に囲まれてベッドに横になる華。
その瞳は開いていた。
そしてゆっくりと口を開く…

「ここは…?…私は…?」
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