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遠い日の約束。
第15章 残された者の哀しみ
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「結局…南和の死因は分からなかった。ふたりの後を追ったと言う者もいた。あるいは自分が犯した罪から逃げるために死んだという者もいたな…御仏が制裁を与えたとも…だけど、真実は分からずだ…だけど分かるのは、ふたりがいなくなって誰も幸せにならなかった。南和さえ幸せになれなかったよ…これが…お前たちが逝ったあとの話だ…」
最後まで話すと部長な大きく息を吸って辛い表情をする。
そして私は…
なんとも言いようのない気持ちが込み上げてくる。
美弥を不幸にした南和。
だけどその原因を作ったのは、私と美弥…
だからと言って、南和の罪が許されるわけではない。
同じ様なことをしている麻耶を許して南和を許せない理由は何なのか…分からない。
「立花…輪廻転生を繰り返して魂は同じでも人格は決して同じではない。考え方、生き方、全てにおいて違ってくる。あの時、酷いことをした相手でも、今は優しく包み込む相手となっていたりする。彼は南和かもしれん。けど南和ではないんだ。お前も葉月であって葉月ではない。立花俊樹というひとりの人格だ…それを忘れるな。あの時代のことはひとつの出来事。思い出している我々にはつらいかもしれないが、時は確実に動き流れている…」
「分かって…います…」
部長が言いたいことは分かっている。
華を美弥として見たことがないのと一緒だから。
だけど、分かるけど…心がついていかない。