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遠い日の約束。
第19章 後始末
「一人娘だ…甘やかして育ててしまったと自覚はある。だけど、人としての道はきちんと教えてきたつもりだった。だけど、それは間違っていたということだ。……権力でもみ消すことは容易いだろう…だけど…それは美江の為にはならない」

「パパ…」

殴られた頬に手を当てながら、篠原は社長の名前を呼んだ。
その声に、篠原社長は顔を歪め顔を逸らした。
それは拒絶。
手を差し伸べるでもなく拒絶した。

「私も親だ。もし、自分の娘が同じ目にあったとしたら…相手を殺してしまいたいほど憎いだろう……それを思えば…自分の娘だが、許すことはできない……」

その言葉に、ここの人は本物だと肌で感じとった。
これだけ権力があれば、どうとでもできる話。
俺たちがどんなに足掻こうと、この事件をもみ消すのは簡単だろう。
それをせずに、罪を償わせるという。

「だがしかし…私も人の親…娘が可愛くないわけがない。」

篠原社長は、ちらりと篠原を見て、ボソリと本音をこぼした。

「このまま警察に連れて行こう。罪はきちんと償わせる。だけど…傍にはついていたやりたい……許してくれるか?」
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