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第21章 運命（さだめ）

俺は小さい頃から不思議な体験をよくしていた。
この世にいないものを見てしまったり、人には聞こえない音が聞こえたりと、それは日常茶飯事でそれが寺に生まれた者に課せられた何らかの使命だと、受け入れていた。
その中でも意味も分からず見続ける夢。
それは鮮明で本当にその場にいたかのような錯覚さえしてまうほど。
それが過去に…前世で自分が関わった出来事だと認識したのは最近になってのこと。
面接で草野に初めて会ったときに「あ～…あの女の子はこの子か…」と一瞬に全てを悟った。
そこからは全てが繋がり、三宅が宝賀だとも自然と頭の中に流れ込んでくる。
今まで繋がっていなかったパズルのピースが一気にはまった、そんな感じだった。
今世こそは幸せになってほしいと願って、草野の行動を見守る俺は、いつの間にか父親気分を味わっていることに気がついた。