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《リベンジ★ラブ》
第1章 目の前に立つのは…
会いたいと言っておきながら馴染めないセックスの痛さから、
前みたいに彼を置き去りにして帰るのは罪悪感もあるがゆえ、
一緒にホテルを後にし10分程歩くと駅前に着いた。

『先輩今夜は?』
『チェックイン済ませた宿泊先に戻るけど、もしかして泊めてくれるとか?』
『………』
『いまだにラブホだけじゃ進展しない、
お互いの部屋に寝泊まりしてこそ価値がある。
そう思わなくね?』
『………』
『森部さんは男物の着替えを用意して待つ事なんて考えつかなそうだし』
『男物の着替え…先輩のサイズってわからない…』
『いいよ、もう』

『先輩…』

愚痴ひとつ言えなかった…

『せっかく会ったのに浮かない顔』
『優しく抱いてください…』
『くだらない』

だけど、くだらないと言いながら先輩は抱きしめてくれる。

『先輩が抱きしめてくれるのって何かいい事あったんですか?』
『また僕を気まぐれな人みたいに言う』
『………』

短い抱擁は彼から手を離してジーンズのポケットに手を入れ財布を手にすると同時に茶封筒が落ちた。
『先輩ポケットから何かが』
『見るな、数年前の時計が高く売れた臨時収入だ』
『………』

先輩はリサイクルショップへ売った時計の金額とあたしとどちらが上ですか?

彼は向こうの男の店に走り出したのを綾香は寂しく見送る。

『漫画や小説みたいに甘いカレカノを望んじゃいけないのかな?
結局先輩からはジュースさえ飲めと言われなかった。残業もお人好しの一言で済まされると後が続かない』

仕事で迷惑かけてるから残業くらいは頑張ろうと…
あたし…

『もうすぐ22時、
独り暮らしだし明日も仕事だから手早く済ませてサッサッと寝ちゃおう』
彼女は近くのコンビニへと入っていった。

2人がわかれた場所は駅前で車の往き来も多く、
片側3車線の計6車線からなるTの字の交差点。
前直進方向の先頭で信号待ちをする男性に一部始終を見られていたとは知らない綾香であった。

その男性が呟く。
『彼氏?』
数年前の記憶から眉間にシワをよせた。

宮川春樹ではないのか?
綾香………
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