パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第1章 目の前に立つのは…

彼が窓際で物思いにふけりコーヒーを置いたのはこんな経緯からだ。

成瀬コーポレーションは２０階だが彼は３階にいた。
『例の企画で立川株式会社の方が約束の時間どうり来ているけどまた断る？』

『柳瀬部長なら前に話したはず、何回書類を持って来ようと同じ結果』

『それが今日は吉川様という…柳瀬様も違う社員をよこしたみたいですね』

『何回来ても誰が来ても結果は同じ――だけど話しくらいは…』

彼は同僚と話をしながらコーヒーを持ち窓際に歩き陽射しを遮る為にブラインドの紐に手をかけた時だった。

白い車の側で建物を眺めている人物がいた。

３階なので認識は出来る範囲内なので彼はその人物をどこかで見た事があると凝視し始めた。

『吉川様に入ってもらっていいですね？』

『いや、悪いけど書類を手にしているなら書類だけをもらって吉川様には帰ってもらって。
考える案件が出来ているから今は会えないと断ってくれないかな』

そういった成り行きから彼はその人物を公園で見たお弁当の彼女だと思い出したようだ。

仕事の顔だった彼の表情は昔を懐かしむように和らいだが、また口元を引き締めた。

彼は視てはいけないシーンを思い出してコーヒーを置いて拳を握った。

やっぱりあの娘は森部綾香―――…

探していた綾香が何故？