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《リベンジ★ラブ》
第1章 目の前に立つのは…
…※…※…※…
それから1日過ぎていた。
立川株式会社では柳瀬が落ちつかなげに成澤コーポレーションから連絡がないかと電話やホームページを気にしていた。
『吉川、ちゃんと返事をもらうよう確認しているんだろうな?』
『検討するそうです』
『相手もなかなか首を振らないから胃が痛いよ、
成澤だけが取引先じゃない事はわかっているんだが』
柳瀬と吉川の会話を背後のデスクで聞きながら綾香は会議資料のコピーを頼まれていることを思い出し席を立った。
『森部、人数分のコピーを会議室に持って行ったら会議がいつでも出来るよう椅子とお茶をよろしく』
『はい、部長』
会議室には長いテーブルはあるが椅子だけは隅に置かれている為に人数分の椅子を並べなくてはならない。
お茶というのは近くのスーパーでペットボトルを買ってくるのだ。
女性社員はいるが綾香が一番新入りの為に自然と言われてしまう。
暗算で人数分のお茶代を計算し会社の財布から2160円を出し領収書をもらった。
500mlのペットボトルを左手に10本、右手に10本持つとヒールでは足がもつれそうだ。
『お給料もらってるんだからこんな仕事でも頑張らなくちゃ』
綾香は足がもつれそうになる度に立ち止まり自分に言いきかせた。
「そんなんじゃ来年の新入社員に追い越されてしまう」という吉川が綾香に対して言った言葉が頭をよぎる。
仕事なんだもの…
仕方ない…
会議室に椅子を並べテーブルを拭き資料を並べ側にお茶を置いた所で会議の10分前になり綾香は退室、
セッティングはしても会議には出る必要がなく後片付けには呼ばれるのだ。
パソコンを打ちコピーを作りまたパソコンを打つ。
綾香の仕事はこんな内容だった。
パソコンを打つ向こう側では男女の社員が企画をつめに熱く議論している、
その中には一番下とはいえ吉川もいて時々は主張していた。
同期の吉川を羨ましく思う綾香はみんなのように仕事がしたいと願うのだった。
だが綾香は主張するには至らないおとなしいところがあった。
小さな頃からそれは変わらない短所なのだろう。